令和4年11月1日。私の放射線治療が始まりました。
開始8日前に計画CTを受けて、その際にお腹や脇腹に書かれた照射ポイントを定める線は、その間に消えてしまっていた。だから、当日は少し早く来るようにと言われていました。
放射線治療は私の場合は全25回で、平日は毎日通院しなければなりません。もはやこれは出勤!? と思うようなスケジュールです。これがあったからこそ、私は家から近いA病院を治療するための病院として選んだ経緯があります。
遠いとねぇ、心理的にも肉体的にも負担に感じる性質なので。自転車で10分ちょっとという立地は、とても魅力的でした。私は公共交通機関、特に混んだ電車に乗りたくない人間でして、その負担たるやメンタルを蝕んでくるでしょうから、避けられるものなら避けたかった。
いかにストレスを軽減してがん治療に臨むか。それもとても大切な事だと思います。
がんは、その存在だけで心理的に大きな負担になります。私の様に、ごく初期で発見されて、命にはあまり関わらないと言われていても、それでも体にがんがある事には変わりないのです。
今後、転移するかもしれない、再発するかもしれない。その時、近所の病院なら掛かりやすいですし、コロナが落ち着いて面会解禁になった暁には家族も楽でしょう。そういう理由も、A病院を選んだ動機付けになっていました。
さて、放射線治療はどんな事をするのか。どんな感じなのか。
まずは着替えをして、CTみたいなものがある部屋に通されました。上半身裸になってタオルを掛けて、装置のベッドに横になります。
両腕を上げて手を組み、動かないようにします。微動だにしません。
「呼吸は深呼吸をしない様に、浅くお願いします」
うっ。苦しい。けっこう大きく呼吸してしまう私にはこれがけっこう苦しい。
緊張すると余計に呼吸は荒くなりますから、そこでそれを抑えろというのは難しい。けど頑張る。
機械の中にベッドが動いたり、出てきてじっと待っていたりと、患者は基本的に何もしません。とにかく微動だにせずに横になっている事。それだけです。
基本的に目を閉じていましたが、たまに目を開けて何が起きているか確認しました。音がけっこう変化するので、それを頼りに『今何をされているか』を確認しましたが分かりません。
ある瞬間、照射されている左胸が少し暖かくなりました。
「(今照射してるのかな?)」
目を開けてみましても、何も見えません。装置の中は何もありませんし、出てきた所には天井に赤い何かが付いています。
「(どこから放射線当ててるの?)」
装置なのか赤い何かなのか、さっぱり分からん。
じーっとしていると、気が付けば終わっていたようでした。
「こんな感じで毎日照射していきますね」
うーん。特に何かを感じたわけでも無かった……な。
この日は、ここで体に線を書く作業が行われました。
それがです、私はちょっと気持ち良いと思ってしまっているのです。
「(このソフトタッチでさわさわされる感。何か新しい癖を目覚めさせられそうだぜ!)」
そんな事を考えて線を書かれているのですから、余裕ぶっこいてるのも良い所です。それくらい、このソフトタッチで線を書き書きは気持ちい……いや、何でも無いです。
この日は放射線医の診察もありました。ここで、私は放射線肺炎を発症したらA病院で診てくれるのか聞きました。
「そうですね。放射線肺炎はそんなに頻発する症状ではありませんが、起きると普通の抗生物質は効きません。なので、最初からこちらに来てくれた方が話が早いです。何かあったら看護師に連絡をして下さい」
やったぁ。診てもらえるってよ! けっこう安心したわ!
診察は週に1回くらいあるそうです。これから副作用が出てきたら、その都度相談しようと思います。
と、こんな感じで私の放射線治療初日は終わりました。今後の副作用の出方などに注視しながら、このエッセイを続けて行こうと思います。
コメント