おいたんがこの障害者施設に勤めた頃は、おいたんは利用者送迎車の運転もさせられていました。おいたんはバイク乗り。無雲家には車は無いので、おいたんは普段はバイクしか乗りません。
そのおいたんが車に乗ったら起こる事。それは事故。
ある日、おいたんは利用者さんを乗せていない状態で車の駐車をする際、ブレーキとアクセルを踏み間違えて車の後部をぶつけてしまいます。これで始末書。そして利用者送迎の仕事からは降ろされました。
そんな事があってからの、前回の『胸ぐら掴み事件』で始末書は2回目でした。
しかし、おいたんとトラブった利用者さんは、その後もおいたんの事をビシバシと叩き続け、ある日おいたんの眼鏡を取って目潰しをして来たそうです。おいたん、ここで抑制が利かず、ついその利用者さんの頭を手ではたいてしまったそうです。
「また、早く帰れって言われた」
この電話、2度目。また……? 無雲はもの凄く憂鬱になりました。そして、おいたんは始末書3回目。今後をどうするか考えろ、と言われたそうですが、まだ頑張りたかったおいたんはその施設で働き続ける事を選択しました。
そして、もう問題は起こさないぞ……と心に決めていたおいたんですが、運命の日はそれからすぐにやって来ました。3度目の始末書から2週間後、就職して半年の出来事でした。
「また、早く帰れって言われた。今回は謹慎1週間」
無雲は、もう頭の中が真っ白でした。帰宅したおいたんを父と共に問い詰めました。
話を聞くと、例の利用者さんに抜歯したばかりの側の頬を力強く殴られて、ついカッとして2度頭をはたいてしまった、というのです。
その利用者さんはまだ若い男性で、殴ってくる時の力が半端なく強いのだとおいたんは言いました。しかし、支援員は決して利用者に手を上げてはいけません。これは大前提です。
この時、無雲はもうおいたんをかばいきれないと思いました。無雲と父は、おいたんに説教をしました。
おいたんは、「殴られると頭がカッなって抑制が利かなくなる」と言いました。
おいたんは、非虐待児でした。その事が原因で、PTSDや双極性障害に今でも苦しんでいます。その事も関係しているのでしょうか?
無雲にはもうどうする事も出来ませんでした。おいたんは、4度目の始末書・1週間の謹慎という処分に、仕事を辞める決意をしているようでした。
無雲は、すぐにおいたんを私達の精神科主治医M先生の元に連れて行くべきだと思いました。これはもう、無雲のキャパを越えてきている。
そうして、無雲はおいたんを病院へ連れて行ったのです。
コメント
最新記事から読んでますけどね(笑)
とにかく、圧倒的にすごい人ですな、おいたん。
そこに愛がある、からこそ
成立するんだねえ。
すごいよ!!
おいたんね、よくぞこんなに次から次へと問題ばかり起こすよ(笑)。
何で愛が冷めないのか自分でも謎なんだ。
おいたんへの執着心が凄くてね。
やっぱ、あの笑顔がある限り無雲はおいたんを見捨てられないのさぁ。