精神科主治医M先生の所においたんを連れて行くと、M先生はこう言いました。
「介護職員が利用者に手を出す事はあってはならない。どんな生い立ちであろうとも、それは免罪符にはならない。結局はパーソナリティーの問題なんだ。カッとなるのを抑える薬は処方しよう。だが、それで問題が解決するわけではない。これに懲りないんだったら、刑務所入って懲りてきて下さい」
M先生は、厳しいが的確なアドバイスをくれる先生だ。無雲は、おいたんが刑事罰に問われるのが一番怖かった。そこも突いてきた。
「例えば、酷い生い立ちで育った人間が二人居るとする。一人は自分のような人間のために神に祈る聖職者になった。一人は犯罪を犯す者になった。この違いは何か? パーソナリティーの問題なんだよ」
M先生はそんな話もしてくれた。
『結局はパーソナリティーの問題』
おいたんに突き付けられたのは、厳しい現実だった。おいたんは理解したのかしてないのか、何だかポカーンとした様子だった。
とりあえずおいたんには気分安定剤が追加されて様子を見る事になった。
そして、仕事は自分から辞めると言いに行った。しかし、そこで思いもよらぬ返答が返ってきました。
「処分はこれから決めます。謹慎を続けて下さい」
しばらくすると、施設から連絡が来て、『解雇』だと言われました。自己都合では辞めさせてもらえませんでした。仕方ないです。おいたんが悪い。
おいたんは、もう障害者施設には怖くて勤められないと言いました。しかし、介護の道は諦めたくないと言いました。無雲もそんなおいたんを見守る事にしました。
しかし、ここから無雲は自分自身が大変な状況になってしまいます。それは次回触れる事にしましょう。
コメント
何度聞いても笑む先生は的確ですね。
おいたんが、こんなもんで済んでいるのは無雲さんの存在があるからなのかなぁ、と読んでいて思いました。
おいたんって、私が居なかったらどんな人生だったんでしょうねぇ……。
考えるだけで鬱になる案件です(-_-;)
だからこそ、放りだせないのです……。