【連載エッセイ】夫は仕事ができません!【Vol.025『たった4日間のお肉屋さん生活』】

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mohamed HassanによるPixabayからの画像

「無雲、すまねぇ」

 この文言から始まるおいたんからの電話には嫌な予感しかしない。過去数回のこの台詞の後は必ず「クビなった」が続いていた。

 まさか、今回も!? まさか!? まだお肉屋さんに勤めて4日目でしょ? でも、まさか……そんな想いが一瞬で脳を駆け巡る。次の瞬間……

「クビになった。もう来なくていいって」

 えぇぇぇ!!!???

「な……何で!?」

「作業が遅い割に雑だから、適性が無いって言われた。試用期間の今の間に辞めてくれって」

 心臓が……止まりそうだ……血の気が引く……意識が遠のきそうだ……。

 電話での様子を見て、その場にいた両親は全てを察した。

「ねぇ、無雲、あんたまだ離婚するつもりはないの?」

「え……無いけど……?」

「あんたがそこまで旦那の人生を背負う必要はあるの? 面倒見る必要はあるの?」

 母がこう迫ってくるのはもう何度目になるか。母は、私のメンタルの具合が悪くなることを極度に恐れているから、『離婚』という言葉を口に出すのだ。それは分かっている。

「ごめん、お母さん。無雲には、それでもおいたんが必要なんだ……ごめん……」

 私は、何故自分がここまでおいたんに固執するのか分からない。ハッキリ言って、こんなにしょっちゅうクビになる旦那は放り出して、両親に保護されて生活したほうが楽になるだろう。しかし、私は、おいたんの人生を背負って、共に歩いて行きたいのだ。

 そこに理由なんて無い。

 おいたんの笑顔が好きだ。おいたんの存在が好きだ。おいたんの全てが好きだ。おいたんが居なくちゃ無雲は頑張れない。おいたん無しでは生きていけない。そう、魂が叫んでいるのだ。

 愛に、理由など要らないのだ。

 ただ、おいたんが必要なのだ。無雲の魂が、そう叫んで渇望しているのだ。

 無雲は、この時泣かなかった。そして、冷静に両親と今後を話し合った。

 そしてひとつの結論に達した。

────障害者手帳を取得させて、障害者雇用で働いてもらおう。

 もう、おいたんは一般人として働く事が限界に見えた。一般人として就労してしまえば、それなりの仕事のクウォリティーを求められる。しかし、おいたんはそれに応えられない。難しい仕事も出来ない。

 もう、障害者として生きて行くしかない。実際、障害のせいで就労がうまくいっていないのだから。

 そして、帰宅したおいたんを出迎えると、おいたんの瞼は腫れていた。

 きっと泣きながら帰ってきたのだろう。そう、一番悔しくて傷付いているのはおいたんなのだ。

 そして、家族で話して、おいたんは障害者手帳を取得する事を了承した。

 お風呂においたんを呼びに行った時も、おいたんは寝転がって泣いているようだった。

 胸が締め付けられた。

 もう、おいたんに傷付いて欲しくない。これ以上、おいたんの魂を傷付けたくない。だからね、おいたん。あなたの事は、無雲が全力で守るからね。

 あなたの笑顔が私を守ってくれているように、無雲は具体的行動であなたを守るから。

 次回は、翌日精神科のM先生の所に行って障害者手帳の書類を書いてもらって手続きをした話です。

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コメント

  1. 水ぎわパンダ より:

    うむ!
    ここには、愛がある!

    それだけでいいんです!

    • 無雲 無雲 より:

      おパンダさん、おはよう!!

      愛さえあれば何とかなる。
      メンタル以外は健康だし(笑)。

      愛で世間の壁を乗り越えて行くのよっ。
      愛が無ければ頑張れないしね!

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