【連載エッセイ】無雲の乳がん闘病記【Vol003.『細胞診、時間が掛かる。そして……』】

無雲の乳がん+ヘルニア闘病記
MarijanaによるPixabayからの画像

 細胞診の結果を聞くはずだった金曜日の午後を前にして、午前に乳腺科クリニックから連絡が来ました。

「すいません。細胞診の結果がまだ届かないんです。なので、本日の午後3時には間に合わないかと思います。結果が届き次第すぐにご連絡いたしますので」

 えぇ、まだなの~?

 仕方ないので、出かけられるスタンバイをした状態で夕方まで待ちました。すると、午後5時過ぎに乳腺科クリニックから連絡が来ました。

「すいません、仮報告書しかまだ届かなくて……。それで、仮報告書の結果なんですが、悪いものが見られるので、もう少し精査したいと。それでなんですが、明日の一番最後の枠を予約させて頂きます。先生から詳しいお話がありますので……」

 えぇっ。嫌な予感。

「どうしよう、お母さん。無雲がんかもしれない!」

 ここで不安感が爆発します。

「お母さんも一緒に行くわ。大丈夫よ、無雲」

 翌日の午前10時頃、また乳腺科クリニックから連絡がありました。結果が届いたとの事でした。なので、その日(土曜日)最後の枠の午後2時に出向く事になりました。

 気持ちはとっても憂鬱です。食欲しか取り柄の無い無雲の食欲も無くなっています。

 乳腺科クリニックに出向くと、土曜日なのでとても混んでいました。

 最後から2番目に名前が呼ばれると、神妙な面持ちをした女医さんが座っていました。

 ふと右手にある机に目を向けると、そこには『悪性』とでかでかと書かれた検査結果用紙が置かれていました。

 ジーザス!!

 もう意識が遠のきそう。

 そして、先生から話を聞きました。

「細胞診の結果、悪性だと判明しました。この検査の結果を見ましても、乳がんと診断して間違いないと思います」

 無雲も母も絶句。

「こちらで用意した、専門医のいる病院から治療する病院を選んで下さい。今選ばなくていいです。家に持ち帰って、じっくり家族で話し合って下さい。この病気とは10年ほど付き合う事になりますし、治療の過程において毎日通う必要があるという事も念頭に置いて下さい」

 ここで無雲が口を開きます。

「先生が一番信頼している医師がいる病院と言ったら、どこになりますか?」

「そうですね、こちらのリストに挙げている医師たちは皆さん信頼できる方達ですよ」

「ならば、先生がこの辺に住んでいたとしたら、どこの病院に行かれますか?」

「そうですね、A病院か、隣の市のS病院ですかね~」

 A病院か……。

 かつて無雲が初めて精神科に連れて行かれたのがA病院だった。

 無雲はA病院では重度の方だったし、リスカばっかしている問題児だった。その過程で外科に出禁になった事もある。果たして乳腺外科では診てくれるのだろうか。

 診察が終わった後、母とカフェに行きましたが、母は無言でうつむいていました。

「ごめんね、お母さん。心配ばかりかけてごめんね」

「ほんとよ……寿命が5年縮んだわよ……」

「じゃぁ、111歳まで生きられるね……」

 この診断日から、この乳腺科クリニックは数日間夏休みとの事で、病院を決めて連絡をするのは翌週の木曜日が最速でした。

 待ち時間は、とてもストレスが掛かる。

 無雲は、ここでカクヨム仲間のAさんからも背中を押され、ある決断をします。

 次回は、温泉で豪遊の話です!(!?)

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